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ジャケットの奇跡

梅雨入りして間もない夏日の先日、ノースリーブの服にジャケットで出かけました。途中、暑くなったのでジャケットを脱ぎました。電車に乗ってしばらくすると涼しくなり、ジャケットを着ようとしたら、どこにも見つかりません。

 

 幸いその日は一日中晴れて気温も高かったので、結果的には夏らしさを味わえたのですが、まだ新しいジャケットだったので残念でした。駅構内か、駅近くの道で落としたのだろうと思って、夜帰る時に駅にも交番にも問い合わせたけれど届けはなく、いつもうわの空でいる自分を深く反省しました。

 

 それから二日後の夕方のことです。こんどは駅から家に帰る途中、また暑くなったので立ち止まり、その日着ていたジャケットを脱いだのです。今度はなくさないようにしなきゃと思って、左肩に下げていたバッグにジャケットを入れようとしたら、その視線の先にある柵に、なんと一昨日なくしたはずのジャケットがかかっているではありませんか。

 駅ではなく、道を歩いている途中で落としたのを、誰かが拾ってくれたのでしょうね。でも警察に届けるのは面倒で、そばの柵にかけておいたのでしょう。

 

 それにしても駅から家までの道は10分余り。ジャケットを脱いだとき以外、ずっと荷物を両手に持ち、考え事をしながらうつむきがちに歩いていたので、まったく左右をみていませんでした。ということは、二日前にジャケットが拾われた場所と全く同じ場所にたまたま私は立ち止まったわけで、そうじゃないと見過ごしていたわけです。それってすごい偶然ではないでしょうか。歩いていた方向は逆だから、ちょうど同じあたりで暑くなったという説明もなりたたないし。

 

 ・・・というわけで、嘘のような本当の話でした。

 

 ジャケットを拾って柵にかけておいてくださった方、どうもありがとう!!!

 

 

紀伊國屋書店新宿本店での『傷を愛せるか』のブックフェア、おかげさまで好評らしく10日ほど期間が延長されるそうです。ぜひ、足を伸ばしてみてくださいね。

 

※ 紀伊國屋書店新宿本店での『傷を愛せるか』のブックフェアは予定通り、7月4日で終了だそうです。すみません、早とちりで。