以前にも紹介したが、精神科医の中井久夫先生によって書かれた、阪神大震災発生から50日間の記録『災害がほんとうに襲った時』は、ウェブで無料で読めるようになっている。また最近、みすず書房からも、東日本大震災に関するエッセイと合わせて出版された。
東日本大震災に関するエッセイの中に、
「第一次世界大戦でわかったことであるが、前線の古参下士官つまり戦争のプロが、四、五〇日たつと、突然、武器を投げ捨てて、わざと弾に当たろうとするような行動に出るという。これを戦闘消耗と呼んだ。」
とある。そのため、阪神大震災のとき、中井先生は40日以内でするべきことをすべてなしおえるようにデザインしたという。また、中井先生は40日を越える前から、客足の遠のいた温泉で病院スタッフが一泊できるよう手配した。
東日本大震災で、4、50日というと、4月20日から4月30日である。
大丈夫だろうか。中井先生のような機転のきくリーダーはいるだろうか。
そもそも、そういった余裕が東日本にあるだろうか。
被災者や現地の支援者たちに、息をつくことのできる時間をもっていただきたいと、切に願う。
その時期にきちんと休養を入れ、周りからねぎらわれ(もしくはお互いにねぎらい合い)、おいしくて暖かいものを食べれば、「戦闘消耗」はかなり軽減すると思う。
ゴールデンウィークには外部から支援に入りたいという希望者が多いかもしれないが、現地に「人疲れ」をおこさないよう、くれぐれも気を配ってしてほしい。